第202章 私はあなたを騙すつもりはなかった

三浦和靖は芸能界で長年過ごしてきた経験から、霧島冬真が表面上は怒っていないように見えても、何かを敏感に察知し、すぐに霧島冬真の助手が持ってきた夜食を受け取るよう指示した。

大谷希真が次々とケータリングカートを運ばせると、全員が思わず驚嘆の声を上げた。

なんとビュッフェで、しかも御福亭のシェフが直接調理するバーベキューだった。

五つ星ホテルのシェフなのだ!

青木尚之が夏目星澄と衣装を着替え終わって戻ってきたとき、この光景を目にして呆然とした!

「霧島社長は本当に気前がいいわね。しかも超イケメンだし。結婚してるのかしら。こんな男性と結婚できる人は幸せ者よね!」

夏目星澄は唇を噛んだ。青木尚之に、自分は結婚していたけど幸せではなく、しかも離婚したと言いたかった。

青木尚之は夏目星澄の様子の変化に気付かず、独り言のように言った。「夏目先生、一晩中忙しくて何も食べてないでしょう。何か持ってきましょうか。」