第201章 誰に向かって大声を出してるんだ?

夏目星澄は石田さんが来るかどうかなど気にもせず、早く撮影を終えて帰りたいだけだった。

そうでないと霧島冬真が心配して、何をするか分からない。

ちょうどその時、助監督が撮影開始を告げた。

宮本恵里菜と夏目星澄は向かい合って立っていた。

すぐに役になりきっていった。

石田鈴花は意識を失った緒方蒼一を見つめ、心配そうに言った。「玉竹仙女に蒼一の治療をお願いする件は、もう結構です。私が残って看病します。」

水野若菜は相変わらず冷たい表情で断った。「石田さん、申し訳ありませんが、ここは蒼穹山の秘地です。部外者は立ち入り禁止なので、お帰りいただきます。」

緒方蒼一を蒼穹山に連れ戻すことだけでも門規に違反していた。

しかも石田鈴花がどんな人物か分からないので、彼女一人に緒方蒼一の看病を任せる気にはなれなかった。