いわゆる梁川お爺様とは梁川千瑠の祖父である梁川晨吾で、霧島冬真の祖父である霧島盛一との間に長年の革命友情を持つ戦友だった。
両家の関係は約50年近く続いていた。
幼い頃から婚約まで決めていたほどだった。
ただ残念なことに、生まれてきた子供たちが全て男の子だったため、その話は立ち消えになってしまった。
梁川お爺様は10年前から病気で、ずっと病院で療養していた。
今では病状が悪化し、もう油尽きかけた灯火のような状態だった。
そして彼が最も心配していたのは、家族で唯一の子供である梁川千瑠のことだった。
元々、梁川千瑠のことについては何も知らなかった。
田中文乃が梁川英夫の反対を押し切って勝手に病院に行き、梁川千瑠が拘置所に入れられたことを梁川お爺様に告げたのだった。
梁川お爺様は怒りのあまり気を失い、やっと救命されたあと、すぐに霧島家に連絡を取った。
霧島盛一が駆けつけた後、老戦友の思いを知り、すぐに霧島冬真に知らせた。
霧島冬真は連絡を受けるとすぐに病院に駆けつけた。
しかし梁川お爺様はもう臨終の時を迎えていた。
霧島盛一は深刻な表情で霧島冬真に注意を促した。「梁川お爺様はもうダメだ。彼の唯一の願いは梁川千瑠に会うことだ。」
霧島冬真は頷いて理解を示した。「大谷希真に迎えに行かせました。すぐに来るはずです。」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、病室内の梁川お爺様は何かを感じ取ったかのように、力なく梁川英夫に向かって言った。「冬真が来たのか。彼を入れてくれ。少し話がしたい。」
梁川英夫は重い足取りで病室の外に出て、「お爺様が単独で会いたいと言っています。入ってください。」
霧島冬真が入ると、白髪まじりで顔がこけ、骨と皮ばかりになった梁川お爺様の姿が目に入った。
「梁川お爺様。」
「ああ、冬真、お爺様は久しぶりに会えたな。元気にしているか?」
「はい、元気です。」霧島冬真の声は思わず重くなった。
梁川お爺様は軽く頷いた。「それは良かった、良かった...」
「冬真よ、お前は良い子だ。梁川家はこれまでずっとお前に助けられてきた...お爺様は本当に感謝している。」
「そんなことを仰らないでください。当然のことです。」