第235章 彼女ほど気骨のある人を見たことがない

おそらく時間が経ちすぎたせいか、霧島冬真もあまり記憶がなかった。

しかし最近起きたことは、鮮明に覚えていた。

夏目星澄は細部にこだわる人だ。油断は禁物だった。

最初からすべて数え直すことにした。

最初は夏目星澄の誕生日で、たくさんの料理を用意したのに、彼は食べずに空港へ梁川千瑠を迎えに行った。

その時、彼女の表情は良くなかったが、彼は気にも留めなかった。彼女が不機嫌になったのは当然だった。

後で誕生日プレゼントを贈っても、彼女は受け取らなかった。

考えてみれば当然だ。誕生日に、自分の夫が他の女性の世話をするのを見たい人なんているだろうか。

あの時、自分は一体何を考えていたのだろう!

その後、霧島雪栄が何度も夏目星澄に挑発的な態度を取っても、彼は何もしなかった。

霧島冬真は息を詰めた。