霧島雪栄は怒りに満ちた心で霧島冬真のオフィスにやってきた。
大谷希真は外出中で、残りのスタッフは誰も彼女を止める勇気がなかった。
霧島冬真は「招かれざる客」を一瞥し、手を振って他のスタッフを退室させ、手元の書類の処理を続けた。
書類の処理を終えてから、ようやく向かい側で目から火を噴きそうな女性を見上げ、冷淡な声で言った。「私のオフィスに入る時は、まずノックをしなさい。」
霧島雪栄は怒りを込めて冷笑した。「私はあなたの叔母よ。そんな態度で私に話すの?あなたの躾はどうなったの?」
その詰問に対し、霧島冬真は怒る様子もなく、相変わらず淡々とした声で答えた。「躾も相手次第です。鏡で自分の今の姿を見てから、私と躾の話をしましょう。」
霧島雪栄は顔を真っ白にして怒った。「私に躾がないと言うの?霧島冬真、私はあなたの目上なのよ。どうしてそんな口の利き方ができるの!」
霧島冬真は嘲りの目を向けた。「目上という立場で私を押さえつけるのはやめてください。私が認めれば、あなたは目上です。認めなければ、あなたは何者でもありません。」
「あなたの衣食住、使っているのは全て私のお金だということを忘れないで。感謝もしないどころか、私に向かって大声を出すなんて。」
「霧島さん、あなたは本当に懲らしめが必要ですね。」
それを聞いて、霧島雪栄は不満げに眉をひそめた。「何が私のお金を使っているって?霧島グループでの配当金は私の正当な権利でしょう!」
霧島冬真は表情を冷たくして言った。「配当金があるのは事実です。しかし、金額には制限があります。配当金を使い果たした後で使うお金は、全て霧島グループの名義です。そのお金は霧島家のものであって、霧島雪栄個人のものではありません!」
「そして霧島家のこのお金は全て私が稼いだものです。あなたが使うのは当然だと思っているようですが、もう私はあなたの尻拭いはしたくありません。」
「特に私の大切な人を陰で虐めるなんて、口座凍結はほんの始まりに過ぎません。次は会社に借りているお金を、一銭も残さず全額返済してもらいます!」
霧島雪栄は霧島冬真の言葉を慎重に吟味した。
彼が気にしているのはお金ではなく、彼女が彼の大切な人を虐めたことのようだった。
霧島冬真をここまで怒らせることができるのは、夏目星澄しかいないようだった。