第258章 よくも彼女と比べられる

霧島グループの五十周年記念パーティーは、系列のインペリアルホテルで開催された。

宴会場は人で溢れかえっていた。

梁川千瑠は会場に到着するなり、霧島冬真の姿を探し始めた。

このパーティーの主役である霧島冬真は、当然ながら全ての人の注目の的だった。

彼は漆黒のオーダーメイドスーツを身にまとっていた。

凛とした気品のある姿勢、彫刻のように端正な顔立ち、その存在自体が眩い輝きを放っていた。

周りの誰もが彼の存在感には及ばなかった。

このように頂点に立つ男性は、どんな女性が見ても心がときめくはずだった。

もし4年前のあの突然の事故がなければ、幼なじみの二人は才色兼備の良い夫婦になっていたはずだった。

そうすれば、夏目星澄というあの忌々しい女のことなど、何の関係もなかったはずだ。