第259章 思いすぎて気が狂いそう

霧島冬真はあの時のことを思い出し、胸が痛んだ。

薬を盛られたことに気づいた時、彼は激怒した。

しかし、夏目星澄が心配そうな顔で部屋に入ってきた時、彼は怒りと戸惑いを感じた。

夏目星澄はなぜこんなことをしたのか。

彼女に好意を持ち始めていたのに、すべてはゆっくりと進めることができたはずなのに。

それなのに、彼女はこんな愚かな方法を選んだ。

しかし、薬を盛られた彼はあまりにも苦しく、追い払おうとしたが、夏目星澄が触れた瞬間、自制が効かなくなった。

夏目星澄の心配そうで怯えた表情を見つめながら。

彼はその偽りの表情を引き裂きたいと思った。

彼女が何を言っても、耳に入らなかった。

体の中の欲望の炎を彼女の上で燃やすままにした。

そして今、同じようなことが再び起きた。

相手は梁川千瑠に変わっていたが、彼は少しも欲望を感じなかった。

血液が極限まで沸騰し膨張し、体中を何百万匹の蟻が這い回るような痒みを感じていたにもかかわらず。

しかし、相手が彼女でなければ、絶対にダメだった!

霧島冬真は最後の力を振り絞り、よろめきながらバスルームに向かい、冷水で少しでも楽になろうとした。

どれくらい時間が経ったのかわからない。

背後に再び人の気配がし、肩を軽く叩かれた。

霧島冬真は梁川千瑠が厚かましくも再び近づいてきたと思い、すぐに手を振り払った。「出て行け!」

大谷希真は一瞬戸惑ったが、すぐに霧島冬真の様子がおかしいことに気づいた。「社長、私です。すぐに病院にお連れします。」

男性の声を聞いて、霧島冬真はようやく安心し、大谷希真に支えられるままにした。

しかし、まさに立ち去ろうとした瞬間。

裸で床に横たわっていた梁川千瑠が突然、真っ青な顔で助けを求めた。「冬真さん、助けて、お腹が痛くて死にそう...出血してる、助けて!」

霧島冬真はもはや梁川千瑠の生死など気にも留めなかった。

一瞥もくれずにその場を去った。

最後は梁川千瑠自身が、死にそうなほどの痛みの中で田中文乃に電話をかけた。「お母さん、助けて、死にそう!」

田中文乃は長い間待っていたが、事が成功したと思いきや、待っていたのは娘の助けを求める声だった。

慌てて上階に駆け上がると、部屋には梁川千瑠一人だけがおり、太腿の下は血だらけだった。