霧島冬真も霧島峰志と長話をせず、直接大谷希真を呼び入れた。
「霧島会長に調査結果を報告してください」
大谷希真は頷き、真剣で厳粛な表情で言った。「私は既に調べ上げました。問題のお酒は、梁川千瑠の母親である田中文乃がウェイターに金を渡して霧島社長に渡したものです」
「霧島社長の休憩室のカードキーも、田中文乃がフロントの隙を見て盗んだものです。梁川千瑠が手術で入院したのも霧島社長の一蹴りが原因ではなく、妊娠して流産したためです」
「全ての証拠は既に警察に提出しました。彼らはすぐに逮捕に向かうはずです」
霧島峰志は、梁川千瑠と彼女の母親がこれほど卑劣な行為をするとは夢にも思わなかった。
薬を使って霧島冬真を陥れようとするなんて。
もはや梁川家は昔の梁川家ではないようだ。