夏目星澄は決心を固めていた。霧島冬真が何を言おうと、もう二度と関わりを持つつもりはなかった。
一方、霧島冬真は、再び夏目星澄を失うことになれば、自分がどうなってしまうのか想像もできなかった。
なぜ彼女はこんなにも残酷なのか。彼に好きにさせておいて、そして彼を拒絶するなんて!
二人とも深く傷ついていた。
しかし、お互いを説得することはできなかった。
昼頃、水野文香は作った食事を持って病院にやってきた。
「星澄、お腹が空いているでしょう?おばあちゃんが直接作ったお粥よ。食べてみない?」
夏目星澄は今回は断らなかった。「はい」
水野文香は喜びの表情を浮かべた。「よかった!星澄、やっと食べる気になってくれたのね。おばあちゃんが知ったら、きっと喜ぶわ」
そう言いながら、湯気の立つお粥を彼女に盛り付けた。
傍らの霧島冬真は食欲がなく、数口食べただけで箸を置いた。
水野文香は二人の間の雰囲気がおかしいと感じ、医師が検査している間に、急いで彼を外に連れ出した。
「星澄とどうなっているの?どうして言葉も交わさないの?」
霧島冬真は低い声で言った。「星澄は僕を憎んでいる。もう会いたくないと言って、永遠に離れろと」
水野文香はため息をつき、困惑した様子で「それで、あなたは何て言ったの?」
「もちろん反対したよ。そしたら彼女は冷戦を始めて、一言も話してくれない」
それを聞いて、水野文香は彼を軽く叩いた。「このバカ息子!何てことをしてくれたの?あの子をこんな目に遭わせておいて、よくも傍にいられるわね」
霧島冬真は暗い表情で「じゃあ、僕はどうすればいいんだ?」
「この件は星澄が怒るのも当然よ。私だって半死半生よ。あなたが私の息子じゃなかったら、散々な罵倒を浴びせているところよ!」
「僕を罵れば星澄が許してくれるなら、好きなだけ罵ってくれ。一言も返さないから」
「あなたね、私に当たっても何の意味もないでしょう。問題は星澄の心が深く傷ついていることよ。会いたくないって言うのも当然だわ。一旦帰って、彼女の病気が良くなってから話し合うのはどう?」
「帰らない」
水野文香は途方に暮れた。これもダメ、あれもダメで、もう何も言えなくなった。
医師の検査が終わり、水野文香と霧島冬真は病室に戻った。