第292話 25年前の真実

警察署内。

伊東光也と夏目星澄が報告を終えると、大谷東也の正式な取り調べが始まった。

「大谷東也、今や証拠は明白だ。もう言い逃れはやめなさい。誘拐殺人は死刑に値する罪だ。自分のためでなくても、息子のためにも、梁川千瑠の罪を被るべきではない」

大谷東也は急に感情的になった。「言うべきことは全て話しました。なぜ私の息子を引き合いに出すんです?彼は白血病で、ショックに耐えられないんです!」

伊東光也は溜め息をつきながら言った。「でも考えてみてください。息子の治療費は不正な手段で得たものです。もし息子さんがいつかそれを知ったら、そんなお金で治療を受けたいと思うでしょうか?」

大谷東也は自分の髪をつかみ、目を見開いて言った。「そんな日は来ません。罪は私が犯したんです。どんな罰でも受けます。死んでもいい、死んでも構いません。ただ息子には手を出さないでください!」