梁川千瑠は別の取調室に拘留されていた。
彼女は恐怖で手足が冷たくなり、全身が震えていた。
突然、二人の警察官がドアを開けて入ってきた。彼らの顔には喜びの表情が浮かんでいて、何か良いことがあったかのようだった。
一人の警察官が手にした書類を梁川千瑠の前に差し出し、「大谷東也はすべて白状しました。梁川千瑠、あなたにはもう言い逃れの余地はありませんね」と言った。
梁川千瑠は書類の供述調書と大谷東也のサインと押印を見つめた。
警察が脅しているのではなく、本当に証拠を掴んでいたことを確認すると、彼女は一気に崩壊した。
どうしてこんなことに!
大谷東也は自分の息子の命なんてどうでもいいのか?
梁川千瑠は冷静を装って、「彼の供述が真実だとは限りませんよ。もしかしたら、あなたたちが騙して偽の自白を取ったんじゃないですか?」と言った。
警察は彼女の言い逃れなど気にも留めず、淡々と言った。「もちろん供述だけではありません。あなたたちの会話の録音もあります。彼はもしものときのために証拠を残していたんです。それがちょうどあなたの犯罪の証拠になりました」
「そうそう、25年前にあなたの母親が彼に霧島冬真を誘拐させた件についても、すべて白状しています」
「本来なら、あなたの母親の刑期は3年だけでしたが、今度は10年追加されることになりました。でも安心してください。母娘で会える機会はありますよ。ただし、刑務所の中でですがね」
梁川千瑠は一気にパニックに陥り、表情が完全に崩れた。
彼女は大谷東也が本当に自白し、25年前の事件まで話してしまうとは夢にも思わなかった!
「嘘よ...嘘に決まってる...これは絶対に偽物よ!」梁川千瑠はこの現実を受け入れられず、首を振りながら意味不明な言葉を呟いていた。
「不可能なことなどありません。我々警察の捜査は証拠に基づいて行われます。天網恢恢疎にして漏らさずとはこのことです」
「梁川千瑠、あなたは誘拐、恐喝、殺人請負など複数の容疑で、本日から公判の日まで正式に拘留されます」
これを聞いた梁川千瑠はもはやショックに耐えられず、悲鳴のような声を上げた。「違う!こんなはずじゃない!」
彼女は必死に罪を認めようとしなかったが、人証物証ともに揃っており、もはや弁解の余地はなかった。