梁川千瑠の裁判がまもなく開廷することになった。
夏目星澄は林田瑶子と花井風真に付き添われて法廷に到着した。
霧島家の方々も全員出席していた。
法廷の入り口で。
登坂萌乃は夏目星澄を見るなり、その年老いた目が赤くなり、すぐに彼女を抱きしめた。「星澄、会わないうちにまた痩せたじゃないの?ちゃんとご飯食べてないの?」
夏目星澄は軽く笑って、慰めるように言った。「おばあちゃん、心配しないで。毎日きちんと食べてるわ。体調が回復したばかりだから、吸収が良くないだけかもしれない」
登坂萌乃は夏目星澄の手をしっかりと握り、重々しく言った。「それならいいけど、何があっても体が一番大事だから、しっかり養生するのよ」
水野文香も近づいてきて、夏目星澄の髪を撫でながら、「星澄、これから開廷するけど、興奮しないでね。うちは市内で一番の弁護士を雇ったから、必ず梁川千瑠に相応の罰を与えられるわ」
夏目星澄は頷いて、「はい、分かってます。おばさん、私のことは心配しないで。私が来たのは、ただ梁川千瑠が判決を受けるところを自分の目で見たいだけです」
水野文香は夏目星澄の後ろにいる花井家の末っ子に気づき、自分の息子のことが心配になった。
どうやら星澄が引っ越してからずっと花井風真と一緒にいたようだ。
花井風真の眼差しも常に優しく夏目星澄を見つめていた。
経験者として、彼女は一目で花井風真が夏目星澄に好意を持っていることが分かった。
もし二人が付き合うことになったら、息子の嫁がいなくなってしまう!
水野文香はすぐに振り返って霧島冬真に手を振った。「冬真、ぼーっとしてないで、今日は寒いし、星澄は体が弱いんだから、早くコートを着せてあげなさい」
霧島冬真はこれがチャンスを作ってくれているのだと分かり、すぐに上着を脱いで夏目星澄に掛けようとした。
しかし夏目星澄はきっぱりと断った。「結構です、おばさん。寒くないので。開廷時間になりましたから、入りましょう」
霧島冬真の手は宙に浮いたまま、仕方なく引っ込めた。
目には失望の色が満ちていた。
彼女は今や触れることさえ許してくれない……
一行が入ってすぐに、正式に開廷となった。
梁川千瑠と大谷東也は並んで被告席に立っていた。
大谷東也はすべての事実を認めた。