霧島冬真は芦原悠青との協力について話し合いに来たと言ったが、実際は帝都に留まる理由を作りたかっただけだった。
しかし、相手が彼の訪問にこれほど熱心に応じ、食事に誘うとは思わなかった。
霧島冬真は食事をしながら協力の話をするのも悪くないと思い、付いていくことにした。
しかし、場所に着いてみると、意外にも夏目星澄に出会い、心の中で抑えきれない興奮を感じた。
これこそ二人の縁の証ではないか!
ただ、夏目星澄の隣には三浦という監督と花井風真がいた。
彼の心は酸っぱい思いで一杯になった。
星澄が怒るのが怖くなければ、とっくに飛んでいって二人を引き離していただろう。
三浦和靖は二人の大物に会える貴重な機会を逃したくないと思い、積極的に挨拶をした。「霧島社長、お久しぶりです。まさか今日ここでお会いできるとは。」
芦原悠青は話しかけてきた男を見下ろし、眉を上げて尋ねた。「あなたは?」
「芦原様、初めまして。三浦和靖と申します。映画やドラマの監督をしております。本日ここでお会いできて光栄です。」
三浦和靖は帝都で足場を固めたいと思い、芦原様と知り合いになれば絶対に良いことがあると考えた。
彼は話しながら、ポケットから名刺を取り出して差し出した。
芦原悠青は受け取らず、隣の霧島冬真を見て言った。「冬真さん、彼とは親しいのですか?」
霧島冬真が映像業界に興味を持っているとは知らなかったし、監督が彼を知っているとも。
霧島冬真は表情の冷たい夏目星澄を一瞥した。
彼女が三浦和靖と一緒に撮影をしたことを考え、面子を立ててやろうと思った。「まあ、そうですね。」
芦原悠青はそれを聞いて、やっと側近に連絡先を残すように指示した。
夏目星澄は三浦和靖が挨拶に行くのを見て、自分もそのまま立ち去るわけにもいかず、その場で待つしかなかった。
挨拶が終われば帰れると思っていた。
しかし、そのとき芦原悠青がまた口を開いた。「後ろのお二人は?」
三浦和靖は霧島冬真と芦原悠青が夏目星澄を知っているはずだと思っていたが、意外にも知らないようだった。
紹介すべきかどうか迷った。