第297章 聖母ぶるのなら私を巻き込まないで

規則を決める?

夏目星澄は自分の耳を疑った。今どき、そんなことを言うなんて。

前回の教訓が足りなかったのかしら?

江口楽々も高慢な態度で言った。「ママが言う通りよ。お嫂さん、煌真さんと結婚するなら、両親に孝行して家の規則を守らなければいけないわ。そうしないと東條家でやっていけないわよ」

林田瑶子がお嬢様だろうが関係ない。東條家に嫁ぐなら、ママの言うことを聞かなければならないのよ!

夏目星澄は呆れた表情で江口楽々を見つめた。彼女は一体どこからそんな自信が湧いてくるのか、彼女たちの前で威張り散らして。

かつて自分が霧島冬真と結婚した時、霧島家の方々は規則なんて言い出さなかったのに、今日ここでそんな話を聞くとは。

神田琴江の側には江口楽々が味方として付き、林田瑶子の側には夏目星澄がいた。

彼女は元々機嫌が悪かったところに、こんな意地悪な人に出会ってしまった。

夏目星澄は一歩前に出て、傲慢な二人の女性を冷ややかに見つめた。「間違いでなければ、今は21世紀ですよね。あなたたちが口にする規則だの、立場だのって、まさか東條家に継承すべき皇位でもあるんですか?だったら東條煌真はそんなにお金持ちなんだから、きっと結構な結納金を用意できますよね?」

東條家は普通の労働者家庭で、皇位なんてあるはずもなく、家の貯金を全部合わせても10万元程度だった。

元々は江口楽々と結婚するなら、1、2万元程度で済ませようと思っていた。どうせ向こうから持参金なんて期待していなかったし。

でも今は、息子が別の女性を選び、しかも都会の金持ち家庭の娘となると、なおさら結納金なんて出したくなかった。

「うちには皇位はないけど、息子は出世したわ。今は大企業の社長よ。うちに嫁ぎたいなら、私にちゃんと仕えなさい。そうしないと結納金は一銭も出さないわよ!」

実は林田瑶子の心の中では、結納金のことはどうでもよかった。

彼女はそれに期待して生きているわけではなかった。

しかし結納金は古今東西、男が女を娶る際の態度の表れだった。

彼女は要らないと言えるが、相手が出さないというのは違う。

林田瑶子は興味深そうに尋ねた。「私に結納金を渡したくないということですか?」