第312章 まさか自分の命で彼を脅すなんて

霧島冬真が自分を塵のように低くしても、夏目星澄の心は少しも動かなかった。ただ心が疲れ果てているだけだった。

「冬真、あなたのその態度は、一体何なの？」

彼女が彼を愛していた時、彼は見向きもしなかった。彼女が愛を失った今、彼は執着して追いかけてくる。

夏目星澄は本当に彼が理解できなくなっていた。

霧島冬真は彼女から顔を上げ、夏目星澄の皮肉な笑みを目にした。

信じられないような様子で二歩後ずさりした。

自由を得た夏目星澄は、しわにもなっていない服をゆっくりと整えながら、続けて言った。「どう？私のこの反応を見て、驚いた？私が心を動かさないことに、失望している？」

「上場企業の社長として、潮見市で君臨する男として、プライドを捨てて、何度も何度も私の許しを乞い求めているのに、私はとっくに感動して涙を流し、あなたの愛情と贅沢な暮らしを享受するべきだと思っているでしょう？」

霧島冬真はそんなことは一度も考えたことがなかった。彼が彼女の許しを乞うのは、本当に自分の過ちを悟ったからだった！

しかし目の前の夏目星澄の言葉は、彼にとってあまりにも見知らぬものだった。

これは彼の知っている夏目星澄ではない、違う...

しかし霧島冬真の喉は何かに詰まったかのように、反論の言葉を一言も発することができなかった。

夏目星澄は崩壊寸前の瞳をじっと見つめ、冷たく言った。「残念だけど、今の私はもう二度とあなたに心を動かされることはないわ。」

「だって私の心は、ベビーが亡くなった瞬間に、一緒に消えてしまったの。心のない人間が、どうやって心を動かすことができるでしょう？そうでしょう？」

霧島冬真は慌てて目を見開いた。彼女は心がないと言った。

心がない...

「そんなはずはない、君に心がないなんて。」霧島冬真は信じられない様子で一歩後退した。

「信じられないの？じゃあ、私の胸を切り開いて、本当に心があるかどうか確かめてみる？」

お腹の中の赤ちゃんが死んだと知った瞬間、彼女の心も一緒に死んでしまったのだ！

今そこにあるのは、ただ彼女が生きていくために必要な臓器に過ぎない。

霧島冬真が彼女の心を切り開くはずがない。今の彼は自分の心を切り開いて彼女に見せたいだけだった。

でも、たとえ本当にそうしたとしても、彼女はもう気にも留めないだろう。