第314章 酒で憂さを晴らす

「天誅の剣」のプロモーションは順調に進んでいた。

撮影中にどんな不愉快な出来事があっても、心の中に留めておき、表面上は穏やかに過ごしていた。

そのため、プロモーション終了まで、みんな仲良く過ごすことができた。

もちろん、高橋浩真の後ろに隠れている宮本恵里菜を除いては。

彼女は今や以前ほどの名声を失っていた。

多くの広告主やプロデューサーが彼女との仕事を拒否していた。

収入も急激に減少していた。

華やかな生活を維持するため、彼女は高橋浩真の求愛を受け入れ、彼の愛人となった。

しかし、彼女は自分がこのまま干されることに納得できず、もう一度チャンスを掴もうとしていた。

そのため、高橋浩真と一緒に撮影チームのプロモーションに参加していた。

彼女は隅に座り、みんなが楽しそうに撮影現場での面白い出来事を語り合う様子を見ていたが、誰も彼女のことには触れなかった。

彼らは夏目星澄をとても気遣っているようで、特に彼女の隣にいる坂口嘉元は、絶えず彼女に関する話題を見つけていた。

いつも優しい眼差しで夏目星澄を見つめていた。

宮本恵里菜は、自分が今の状況に追い込まれたのは全て夏目星澄のせいだと思うと、その場で彼女を殺してやりたいほどの憎しみを感じた。

すぐに彼女の頭の中に悪意のある考えが浮かんだ。

自分が昔の輝きを失ったのなら、夏目星澄も幸せになんてさせない!

夏目星澄が楽しくプロモーション活動をしている一方で、霧島冬真は全ての精力を仕事に注ぎ込むしかなかった。そうしないと、立ち止まった途端に夏目星澄のことを考えてしまうから。

彼女のことを考えると心が引き裂かれそうになった。

昼間は寝食を忘れて仕事に没頭し、夜は接待か緒方諒真と林田真澄を呼び出して酒で憂さを晴らすかのどちらかだった。

林田真澄は仕事が忙しく、三回呼ばれても一回しか来られなかった。

一方、緒方諒真はいつでも呼び出せば来てくれた。忙しくないわけではなく、彼が人生を楽しむタイプだったからだ。

それに霧島グループという大きな後ろ盾があるので、何も恐れることはなかった。

霧島冬真は再び緒方諒真を呼び出して飲みに行った。毎日自分を酔いつぶすまで飲まないと気が済まなかった。そうしないと、頭の中は絶え間なく夏目星澄のことを考えてしまい、あまりにも苦しかった。