第331章 苦難の中で真心が見える

十分後、大谷希真は救助隊を率いて霧島冬真と夏目星澄を見つけた。

しかし、二人とも意識を失っていた。

そして、二人は抱き合ったまま、妙に艶めかしい姿勢で倒れていた。

救助隊の人々は二人を引き離すことができなかった。

最後には仕方なく、そのまま救急車に乗せた。

大谷希真は車内で感慨深げに思った。霧島社長は若奥様を取り戻すために命さえ顧みず、一緒に崖から飛び降りるなんて、本当に必死だった。

上から見ていた時は、ひやひやして仕方がなかった。

幸い、二人とも無事で生き延びた....

夏目星澄が目を覚ました時には、すでに病院にいた。

空気中には薄い消毒液の匂いが漂っていた。

夏目星澄は体がばらばらになったかのように、全身が痛かった。

左手も包帯でぐるぐる巻きになっていた。

少し不快に感じ、体勢を変えようとしたが、体を動かした途端、何かに押さえつけられているような感覚があった。