霧島冬真は花井正道の声に怒りが込められているのを聞き取ったが、彼には恐れるものなど何もなかった。「花井お爺様、そんなことを言われても、花井さんの足は自分のものですから、行きたいところへ自分で行けばいいでしょう」
花井正道もようやく霧島冬真の言葉の真意を理解した。彼が花井風真を行かせない本当の理由が分かったのだ。
「分かった。お前は冬休みの件は前妻とは無関係で、彼女を巻き込むべきではないと思っているんだな。安心しろ、今日この老いぼれが約束しよう。これからはこんなことは二度と起こらないようにする。どうだ?」
霧島冬真はもう長々と話す気もなかった。「では、花井お爺様のお言葉、ありがたく頂戴いたします」
「では、花井風真は...」
「花井お爺様、焦らないでください。申し上げた通り、足は花井さん自身のものです。どこへ行くかは彼の勝手で、私には関係ありません」