第349章 理不尽な姑

翌日。

夏目星澄は霧島冬真と一緒にすべての検査を受け、大きな問題がないことを確認した後、帰る準備をした。

霧島冬真は名残惜しそうに「また会いに来てくれる？」と尋ねた。

夏目星澄は携帯を見て、「状況次第ね。最近新しい脚本を受け取って、明日オーディションに行くの」と答えた。

霧島冬真は彼女に過度な心配をかけたくなかった。「でも、君の体も回復したばかりだろう。もう少し家で休んだ方がいいんじゃないか？」

夏目星澄は首を振った。「最近色々あって、かなり仕事が遅れているの。これ以上休んでいられないわ。スタッフの給料も待っているし」

結局、彼女は今や一人で"戦っている"わけではないのだから。

霧島冬真は彼女を止められないことを知っていた。「わかった。でも無理はしないでくれ。仕事と休息のバランスを取って、何か問題があったら必ず電話してくれ」

夏目星澄が家に帰ると、意外にも見覚えのある靴を見つけた。

林田瑶子がなぜここに？

何か様子がおかしいと感じ、以前住んでいた部屋にそっと近づいた。

案の定、ベッドで寝ていた。

夏目星澄は邪魔をしたくなかったので、先に自分の部屋に戻って着替えることにした。

出てきたとき、林田瑶子は目を真っ赤にして起きていた。

夏目星澄は驚いて「どうしたの、瑶子？誰かにいじめられたの？」と聞いた。

林田瑶子は目をこすりながら「誰にもいじめられてないわ。昨日徹夜して、よく眠れなかっただけ。それより、昨日どこに行ってたの？家にいなかったじゃない」

「話せば長くなるわ。昨日は大変だったの」

夏目星澄は長いため息をついた後、昨日起こったことを全て話した。

林田瑶子は話を聞くにつれて眉をひそめた。「この件に関して、花井風真は明らかに間違ってるわ。家族との見合いを拒否するのは彼の問題だけど、なぜあなたを巻き込んで偽装結婚までしようとするの？本当に突飛な考えね！」

夏目星澄は林田瑶子ほど興奮していなかった。「彼も家族に追い詰められて、そんな方法を思いついただけだと思うわ。だから私はその場で断ったの」

結局、偽装結婚は一時的には隠せても永遠には隠せない。いずれ問題が起きるはずだ。