第358章 なぜ彼女の心はこんなに痛むのか?

大谷希真は夏目星澄を支え起こし、「夏目さん、あなたはこの状態ではそう遠くまで歩けませんよ。それに...それに霧島社長は今、集中治療室で意識不明の状態です。行っても意味がありません。それに会長と会長夫人が付き添っているので、大丈夫ですから」

夏目星澄はその言葉に一瞬驚いた。「おじさまとおばさまが来られたんですか?」

つまり、霧島冬真の怪我は親族に連絡が必要なほど重症だということだ。

夏目星澄は真っ赤な目で大谷希真を見つめ、「どうしてこんなに重傷を負ったんですか?」

大谷希真は困惑した様子で、真実を話すべきかどうか迷っていた。

話せば彼女の感情を刺激して病状が悪化するのではないかと心配だが、話さなければ霧島社長の怪我が報われない。

夏目星澄は待ちきれず、声を荒げて言った。「一体どうなったんですか、話してください!」