第362章 何も見返りを求めない

医師たちは霧島冬真の身分がどれほど特別なものか知っていたため、軽々しく真実を話すことができなかった。

霧島峰志も実際、最悪の事態がどのようなものなのか知りたかった。

「話してください」

医師は唇を噛み、しばらく考えてから口を開いた。「障害が残る可能性は七割ほど...」

夏目星澄はそれを聞いて、心が震えた。

これほど高い確率は、まるで霧島冬真が必ず障害者になるということを告げられているようなものだった。

そして霧島冬真をこのような状態にしてしまった原因は、彼女だった!

この大きな恩を、どうやって返せばいいのだろう!

水野文香は医師の言葉を聞いて、ついにショックで気を失ってしまった。

医師たちは再び彼女の救命に当たった。

幸い、彼女は普段から健康だったため、医師の救急処置で意識を取り戻した。