第363章 彼女に迷惑をかけたくない

水野文香は霧島冬真の決定を尊重し、彼が何をしたいのかは自由で、ただ彼が幸せで楽しければそれでいいと思った。

夏目星澄については、彼女の性格もよく分かっていた。

たとえ霧島冬真が彼女に何も求めなくても、彼女は何も感じないわけではないだろう。

特に霧島冬真の足が障害を負う可能性を知った後は。

夏目星澄がこのことですぐに彼と一緒になることは求めないが、リハビリの日々で彼に寄り添ってほしいと願っていた。

翌日、夏目星澄の体調は大分良くなり、車椅子は必要なくなった。

しかし医師はまだ床上安静を勧めていた。

だが彼女は霧島冬真のことが心配で、林田瑶子が食事を買いに出かけた隙に。

こっそりと霧島冬真の病室の前まで来て、彼の穏やかな表情を見ていると、自分の足の怪我が重症だということを知っているのかどうか分からなかった。

大谷希真がこの時、ノートパソコンを持って彼女の後ろに現れ、「夏目さん、来られたんですね。どうして入らないんですか?」

夏目星澄は大谷希真を脇に引っ張り、小声で尋ねた:「彼は今、自分の足の状態を知っているの?」

大谷希真は首を振った。「まだ知りません。会長の意向では、治療に影響が出るのを恐れて黙っているんです。」

夏目星澄は頷いた。「そうね、黙っていた方が治療に専念できるわ。知ってしまったら、治療を拒否したら大変だもの。」

4年前、霧島冬真が目覚めた時、両足が一生歩けなくなる可能性を知って、しばらく落ち込んでいた。

誰が何を言っても聞く耳を持たなかった。

部屋の中のものを狂ったように壊し、誰も近づけなかった。

彼女が霧島冬真の怒りに耐えながら、頑として付き添い続け、1年以上のリハビリに付き合って、やっと良くなってきた。

あの時、あれほどの重傷から回復できたのだから、今回もきっと大丈夫なはずだ。

夏目星澄は大谷希真と一緒に中に入った。

霧島冬真は夏目星澄が来たのを見て、深い瞳が一瞬輝いた。「星澄、来てくれたんだね。食事は済んだ?」

「まだよ。瑶子が買いに行ってくれたの。あなたは?」

「僕は食べたよ。安心して、毎日きちんと食事してるから。」

「うん、それで今はどう?足は痛くない?」

「大丈夫だよ、特に何も感じない。」