第372章 私は既に花井風真と約束した

第三百七十二章

霧島冬真は本来盗み聞きするつもりはなかった。

しかし、花井風真という名前を聞いた途端、思わず緊張してしまった。

あいつはなぜいつもつきまとってくるのか。

自分には夏目星澄を守る力がないことを、あいつは分かっているはずなのに。

花井お爺様はあんなに封建的な人なのに、どうして花井風真と夏目星澄の関係を簡単に認めるはずがあるのか。

これは誕生日会への招待なんかじゃない、罠に違いない!

ダメだ、星澄にこんな危険を冒させるわけにはいかない。

夏目星澄は霧島冬真ほど深く考えていなかったが、彼が電話を盗み聞きしたことに不満を示した。「なぜ私の話を盗み聞きするの?」

霧島冬真は平然と説明した。「盗み聞きしたわけじゃない。風が出てきたから寒くないか心配で声をかけようと思っただけだ。たまたま聞こえただけだ。それで、行くつもりなのか?」