第376章 たかが知れている

夏目星澄は朝倉茉莉がこんなに率直に聞いてくるとは思わなかった。「朝倉さん、なぜそのような質問を？」

朝倉茉莉は手に持ったワインを一口飲み、意味ありげに笑って言った。「だって、彼があなたのことを好きなのが分かるから」

夏目星澄は眉をひそめ、彼女の言葉の意図が分からなかった。

朝倉茉莉は夏目星澄が黙っているのを見て、手のワインを一気に飲み干した。

そして新しいグラスを取り、夏目星澄に差し出した。「このワインはサンポリアワイナリー産よ。一本十数万円するわ。味も良いから、飲んでみない？これを逃したら、もう機会はないわよ」

夏目星澄は酒臭い体で帰りたくなかったので、断った。「結構です。お酒は好きではないので」

「じゃあ、何が好き？ジュース？ちょうどマンゴージュースがあるわ」朝倉茉莉は別のグラスを差し出した。