第415章 金鹿賞

夏目星澄は霧島冬真の励ましを受けて、三浦和靖に返事をし、映画制作に参加する意思を伝えた。

三浦和靖もすぐに彼女に脚本の一部を送り、「星澄、まずは脚本を読んでみて、金鹿賞が終わってから、オーディションに来てくれればいいよ」と付け加えた。

夏目星澄はすぐに「はい、分かりました。しっかり準備します」と返事した。

霧島冬真は夏目星澄が電話を終えてリラックスした表情で戻ってくるのを見て、笑いながら「どう?すべて話がついた?」と尋ねた。

「うん、話がついたわ。金鹿賞が終わったら、オーディションに行くことになったの」

「金鹿賞にも出るの?」

「言ってなかった?私、最も観客に愛される女優賞にノミネートされたの」

「聞いてないよ」

「最近忙しすぎて、言い忘れてたのかも」

「大丈夫だよ、今知っても遅くない。その時は僕も一緒に行くよ」

夏目星澄は驚いた表情で彼を見つめ、「なんで一緒に行くの?」

霧島冬真は突然少し寂しそうな顔をして「もちろん、受賞の喜びを一緒に分かち合いたいからだよ。もう復縁を約束してくれたんだから、こんなことまで断らないよね?」

夏目星澄は苦笑いして「私はただノミネートされただけで、受賞できるかどうか分からないわ。あなたが来て、逆に失望するんじゃないかしら。それに、誰が復縁を約束したの?私は復縁を考えることは約束したけど、概念をすり替えないでよ」

「はいはい、分かってる。同意じゃなくて、考えるだけだって。僕も病院で3ヶ月近く過ごして、社会から取り残されそうだから、ただの気分転換だと思ってくれればいいよ」

夏目星澄はまだ躊躇していた。

結局、霧島冬真は普通の人ではないから、彼が行けば必ず注目を集めることになる。

霧島冬真は彼女の心配を察したかのように、すぐに「安心して、目立たないように行くから、絶対に迷惑はかけないよ」と約束した。

「それでもダメよ。芸能界の人たちばかりなのに、あなたが行くのはおかしいでしょう。それに、あなたの足もあんな賑やかな場所は無理よ。もし何かにぶつかったりしたら、これまでの努力が台無しになってしまうわ」

「大丈夫だよ、僕は子供じゃないんだから、特に気をつけるよ」

「どうしても行きたいの?」

「うん」

「分かったわ、行くなら原田先生も連れて行かなきゃ。万が一のために」