第421章 新たな始まり

霧島冬真の呼吸が静かな夜の中で鮮明に聞こえ、彼の心には多くの不安と後悔が渦巻いていた。

もっと早く自分の心に気づいていれば、夏目星澄との関係がこんなことにはならなかったはずだ。

あの子さえも、無事に育っていたかもしれない......

夏目星澄が自分をかばって一刀を受け、血まみれになった姿を見た時、彼は完全に崩壊した。

その場でその畜生を八つ裂きにしてやりたかった。

「星澄、本当に後悔している。君を傷つけたすべてのことを後悔している。本当に申し訳なかった。許してくれないか？」

霧島冬真は一言一言謝罪を重ね、その声には苦しい嗚咽が混じっていた。

夏目星澄の心は複雑な感情で満ちていた。何か言おうとした時、突然首筋に熱い湿り気を感じた。

彼が泣いている...

霧島冬真の涙は、夏目星澄にとって毒薬のように、彼女の心を激しく刺した。

以前も彼は泣いたことがあった。その時は何も感じなかった。

しかし今は、彼女の心境が変わっていた。

特に今回の出来事の後、彼女は霧島冬真が当時自分を救った時の気持ちを、やっと理解できた。

夏目星澄は目を開いたまま、涙腺が痛み、喉がかすれていた。

長い間のもつれた関係で、二人は意図的に過去のことを口にしなかった。まるでそれは二人にとって越えられない傷跡のようだった。

そして今日、あの狂気的なファンの出現は、表面上は穏やかな湖面に巨石を投げ入れたかのように、二人の心に大きな変化をもたらした。

霧島冬真の涙はとても熱く、彼の心の底まで染み込んでいった。

夏目星澄は深くため息をつき、結局男の涙には耐えられなかった。

かつて心の中に封印していた愛情が、再び噴き出してきた。

彼女はゆっくりと体を回し、真っ暗な部屋の中で、そっと霧島冬真の唇に口づけた。

霧島冬真は一瞬固まり、赤く腫れた目で信じられないという表情で彼女を見つめた。

「過去に私はあなたを愛し、憎んでもいた。あなたも私のせいで二度も命を落としかけた。今回あなたを救ったのも、私の本心からよ。あなたはずっと新しく始めたいと言っていたでしょう？なら、新しく始めましょう。」

霧島冬真は「新しく始める」という言葉を聞いて、数秒の間呆然とした後、すぐに夏目星澄の頬を両手で包み、興奮して熱烈にキスを返した。

「星澄、愛している。」