第四百二十三章 生まれながらの役者
中村英二は夏目星澄について印象を持っていた。映画の撮影を決定する前に、業界の友人たちから多くの推薦を受けていた。
その中には夏目星澄も含まれていた。
彼女の演技力は同世代の俳優の中でも際立っており、最近では新人賞も受賞し、注目を集めていた。
中村英二は夏目星澄を遠慮なく審査し、うなずきながら、彼女の容姿に満足していた。
「台本は読んだか?」
「はい、読ませていただきました」
「よし、では演技を始めてください」
夏目星澄は一瞬目を伏せ、二秒ほど沈黙した後、顔を上げた時には目の表情が変わっていた。
彼女が今日演じる役は龍族の姫、白石鈴乃だった。
ある神魔大戦の際、好奇心から龍宮城をこっそり抜け出し、戦いの全てを目撃した。
最後に武神が勝利を収めたものの、深手を負って海に落ち、行方不明となった。