第451章 後悔を償う

夏目星澄が呆然としている間に、霧島冬真は既に彼女の前に来ていた。

「どうしてここに?」

霧島冬真は笑いながら彼女の向かいに座り、「来てはいけないの?」

夏目星澄は彼がとっくに霧島グループに戻って仕事をしていると思っていた。山積みの仕事があるはずだから、きっと忙しいだろうし、電話やメッセージをくれるだけでも十分なのに。

「全部終わったの?」

「会社のことなら、父がいるから心配ない。それに、休暇を取ったんだから、君とゆっくり過ごしたいんだ」

夏目星澄は霧島冬真の休暇の話を冗談だと思っていたが、まさか本当だとは。

「冗談でしょう?あんな大きな会社を放っておくの?」

「全く管理しないわけじゃない。重要な書類は大谷希真が持ってくるし、それを処理すれば自由な時間ができる。だから君にラーメンを作ってきたんだ。味はどう?」

霧島冬真は説明しながら、テーブルの上の保温容器を開けた。

夏目星澄は目の前のラーメンを見て、信じられない様子で「これ、あなたが作ったの?」

霧島冬真は優しく微笑みながら、箸を彼女に渡して「昨日ラーメンが食べたいって言ってたでしょう?ネットで少し勉強してみたんだ」

夏目星澄は昨日、スマホを見ていた時にラーメンの広告を見て、美味しそうだなと少し呟いただけだった。まさか霧島冬真が今日作ってくるとは思わなかった。

香りを嗅ぎながら、思わず箸を取って一口食べてみると、想像以上に美味しかった。

「うん...すごく美味しい。料理の才能があるなんて知らなかった!」

霧島冬真は夏目星澄が嬉しそうに食べる様子を見て、満足げだった。

彼の努力が報われた。

夏目星澄は霧島冬真の前では遠慮せず、すぐに美味しそうに食べ始めた。

霧島冬真は彼女が美味しそうに食べる姿を見て嬉しかったが、食べるのが早すぎて詰まらせないか心配になり、「ゆっくり食べて。焦らなくていいよ。好きなら僕の分もあげるから」

彼は二つの保温容器を持ってきていた。一つは夏目星澄用、もう一つは自分用。

彼女と一緒に食事がしたかったから。

夏目星澄は箸を止めて「食べてないの?」

「君と一緒に食べたかったんだ。でも僕の料理を気に入ってくれて嬉しいから、全部君にあげても構わないよ」