夏目星澄が呆然としている間に、霧島冬真は既に彼女の前に来ていた。
「どうしてここに?」
霧島冬真は笑いながら彼女の向かいに座り、「来てはいけないの?」
夏目星澄は彼がとっくに霧島グループに戻って仕事をしていると思っていた。山積みの仕事があるはずだから、きっと忙しいだろうし、電話やメッセージをくれるだけでも十分なのに。
「全部終わったの?」
「会社のことなら、父がいるから心配ない。それに、休暇を取ったんだから、君とゆっくり過ごしたいんだ」
夏目星澄は霧島冬真の休暇の話を冗談だと思っていたが、まさか本当だとは。
「冗談でしょう?あんな大きな会社を放っておくの?」
「全く管理しないわけじゃない。重要な書類は大谷希真が持ってくるし、それを処理すれば自由な時間ができる。だから君にラーメンを作ってきたんだ。味はどう?」