千葉隆弘と藤原晴子も息を飲んだ。
桜井美月は確かに、小山千恵子が白血病を患っていることを知っていた。
当時病院で、横山先生が血液検査の結果を誤って桜井美月に渡してしまったのだ。
その後、横山先生はすぐに異動させられた。
小山千恵子の検査結果も誤診とされた。
小山千恵子は少し考え、眉をひそめ、何かに気付いた。
「おかしい、桜井美月は浅野武樹にこのことを知られたくないはず。公の場で話すはずがない」
藤原晴子は思わずテーブルを叩きそうになり、目を回した。
「じゃあ彼女は何の芝居をしているの?」
画面の中の桜井美月はティッシュを置き、心を落ち着かせた。
目の縁はまだ赤く、同情を誘うような様子だった。
「千恵子さんは離婚手続きで忙しく、てんてこ舞いで、自分の子供を失い、ネットの誹謗中傷で夜も眠れず、病院に入院までしました。皆さん、彼女を静かに休ませてあげてください。私のために彼女を邪魔しないでいただけますか?」