第24章 これはあなたの父親のはず

小山千恵子は目を見開き、思わず息を呑んだ。

「では、母が自殺したことをご存知だったのですね?他に何か情報は残していましたか?」

吉田芙蓉は手を振り、タバコに火をつけた。

「シシって呼んでいいわよ。当時も彼女は多くを語らなかったわ。ただ、子供がここにいれば、あちら側の人たちに見つからないはずだと言っていたわ」

千恵子はキーワードを捉えた。「あちら側の人たちとは?」

シシさんはタバコを一服し、手を広げた。

「私にも詳しくは話してくれなかったわ。知れば知るほど危険だって。止めようとしたけど、小山雫は頑固だったから、私の言うことなんて聞かなかったわ」

千恵子は失望を隠せない表情を見せた。母は部外者を巻き込むつもりはなかったようだ。

シシさんは灰を払い、ため息をついた。

「あなたも当時の真相が気になるの?ごめんなさい、私が知っているのはこれだけよ」