第38章 死んでも、あなたの望み通りにはならない

藤原晴子がドアを開けて入ってきて、キャリーバッグを引きながら、せわしなく荷物をまとめ始めた。

「千恵子、千葉隆弘の人たちがおじいさんを迎えに行ったわ。早く荷物をまとめて、とりあえず海都市に数日避難しましょう」

小山千恵子は怒りで目が赤くなり、爪が手のひらに食い込み、痩せた体が震えていた。

「なぜ私が行かなければならないの?」

千恵子の歯を食いしばるような声を聞いて、藤原晴子はため息をつき、千恵子の両肩に手を置いた。

「千恵子、私たちは浅野野郎と正面から戦えないの。今は、あなたが安全に治療を受けることだけを考えているの。浅野武樹があなたを連れて行ったら、私はどうすればいいの?」

浅野武樹に連れて行かれるたびに、千恵子は怪我をするか発作を起こすかで、藤原晴子はもう怖くなっていた。