小山千恵子はその場で固まった。
後ずさりする間もなく、顔を曇らせた浅野武樹に腰を抱かれて部屋に連れ込まれ、ベッドに投げ出された。
電話の向こうの藤原晴子は機転が利き、二秒の沈黙の後、すぐに電話を切った。
浅野武樹は画面を一瞥し、ロックをかけてベッドの隅に放り投げた。
小山千恵子が起き上がろうとすると、浅野武樹は警告するように言った。「動くな」
男はゆっくりと歩み寄り、優雅な動きでカフスボタンを外し、袖をまくり上げた。
「渡辺昭の話をしていたのか?」
浅野武樹はサイドテーブルに寄りかかり、余裕の表情でベッドの上の小山千恵子を見つめた。
「私に彼を潰してほしいのか?」
小山千恵子は腕で体を支え、冷たい目つきで浅野武樹を見た。
「違います。私と渡辺昭には何の関係もありません」
浅野武樹は目を伏せて聞きながら、無意識に指輪を弄んでいた。
「つまり、彼に助けを求めるつもりだな」
小山千恵子には分かっていた。浅野武樹が不機嫌になり始めていることが。
「盗作の疑惑を晴らすのは番組でやります。それ以上の説明はありません」
浅野武樹は追及せず、ベッドに近づき、上から小山千恵子を見下ろした。
長い手を伸ばし、小山千恵子の細い腹部に直接触れ、話題を変えた。
「医者は何と言った?」
明らかに妊娠のことを聞いていた。
子供のことを思うと、小山千恵子の心は苦しく辛かった。
浅野武樹が彼女に示す優しさと寛容さは、ただ彼女が桜井美月より健康な子宮を持っているからに過ぎなかった!
でも、すでに失ってしまったあの子を、誰が心配してくれるのだろう……
小山千恵子は浅野武樹の手を振り払い、逃れ出すと、目に熱いものが込み上げてきた。
「妊娠できません」
浅野武樹は微かに震える女性を嘲笑うように見つめ、鼻で軽蔑的に笑った。
「妊娠できないなら方法を考えろ。少なくとも誠意は見せてもらわないと」
小山千恵子は歯を食いしばり、男が部屋を出て行くまで、耳鳴りから解放されなかった。
浅野武樹の彼女への愛情はとうに消え去っていた。
今残っているのは、歪んだ支配欲と果てしない欲望だけだった。
幸い、彼女にはもうその苦しみに耐える命は残されていなかった。
*
渡辺スターの方が了承を出し、『新入生』の番組スタッフはすぐに小山千恵子に出演依頼を送ってきた。