第51章 彼女が恥をかくのが待ちきれない

全ての視線が小山千恵子に集まるまで、桜井美月はようやく目を戻し、再び口を開いた。

「在席のデザイナーの皆様は、作品を盗作された苦痛をきっと理解していただけると思います。このような番組を通じて、熊谷玲子の才能にもう一度チャンスを与えたいと思います」

桜井美月の言葉には刃が隠されており、優しげな様子を装いながらも、明確に小山千恵子を標的としていた。

疲れ果てた様子のデザイナー熊谷玲子は、桜井美月の車椅子を支えながら、無理に笑みを浮かべ、数回咳き込んでから口を開いた。

「皆様、こんにちは。『新入生』に参加できて大変嬉しく思います。また、桜井さんが与えてくださった...チャンスにも感謝いたします」

言葉の間に、熊谷玲子の顔には気づきにくい躊躇いが浮かんでいた。

遠くに座っていた小山千恵子は、それをはっきりと見て取った。

おそらく桜井美月は何か後ろ暗い手段を使って、熊谷玲子を脅迫したのだろう。

小山千恵子は頭を下げ、スケッチブックに描き続け、まるで壁の隅に溶け込んでしまいそうなほど控えめな様子だった。

もし隣に渡辺スターが座っていなければ、の話だが。

番組スタッフを待つ間、周りではさまざまな噂話が飛び交っていた。

「以前、桜井美月が小山千恵子のサンダースの身分は盗用だと言っていたよね」

「私も見たわ。サンダースの法人代表者も主宰者も彼女じゃないのよ。最悪の場合、脱税してるんじゃない?」

「よく来れたわね、恥をかく姿が楽しみ」

番組に参加するデザイナーとアーティストが席に着き、番組スタッフが現れた。

白石監督は賢明な中年男性で、黒い麻の上着を着て、知的な雰囲気を漂わせていた。

ビデオ会議には、ヨーロッパから招かれた外国人チームが数十人も参加しており、大規模な陣容だった。

小山千恵子は注意深く観察し、イタリアやミラノの主要ブランドの主宰者やメインデザイナーが多数いることに気付いた。

番組の宣伝で特に強調されていたセールスポイントは、まさにこの外国人チームだった。主にデザイン作品の品質管理と採点を担当する。

白石監督は咳払いをし、力強い声で話し始めた。

「『新入生』の収録にご参加いただき、ありがとうございます。事前の宣伝通り、作品の採点は完全に外国人アドバイザリーチームが行い、毎回評価委員はランダムに選ばれます」