第66章 浅野武樹と取引をする

藤原晴子がまだ小山千恵子にこのことを伝える前に、彼女から電話がかかってきた。

小山千恵子の声は冷静そのものだった。

「晴子さん、試写に何か問題があったの?」

藤原晴子は驚いた。「どうしてわかったの?今話そうと思ってたところなのに」

電話の向こうで、小山千恵子が笑った。

「浅野武樹さんが朝早くに連絡してきて、番組のことで話がしたいって。だいたい察しがついたわ」

藤原晴子は眉間をさすり、頭が痛くてたまらなかった。

芸能界は玉石混交だけど、結局は資本が最強なのだ。

出資プロデューサーの桜井美月の後ろ盾は、浅野グループと浅野武樹だった。

藤原晴子は憤慨して言った。「浅野武樹のクソ野郎、きっと制作陣を脅したのよ。試写で私たちを徹底的に貶めて、白を黒と言い張るなんて、目を疑うわ」