小山千恵子は番組スタッフの中で過ごす日々が少し楽になってきた。
前回の撮影が終わってから、スタッフもタレントも、彼女を見る目が変わってきた。
今のところ小山千恵子がサンダースであることを直接証明する証拠はまだない。
しかし、彼女の卓越した技術と優れたデザイン能力は第一回の番組で既に示され、評価を得ていた。
しかし小山千恵子は夜も眠れずにいた。
ウェディングというテーマに関しては、彼女が最も豊富な経験を持っていると言える。
しかし、デザイン用紙の前では、一筆も描けなかった。
明日が締め切りという時になっても、小山千恵子の用紙は真っ白のままだった。
もうウェディングドレスが描けないことは、彼女の解けない心の結び目となっていた。
渡辺昭はあっさりと考えていた。
「描けないなら諦めて、さっさと辞めればいい。今は誰も盗作だなんて言わなくなったんだから」