第76章 おじいさまの容態は楽観できない

浅野武樹は心臓の鼓動が一瞬加速し、血が脳に上って、すぐに冷静さを取り戻した。

その証拠は完璧で確実なものだったのに、どうして小山雫が犯人ではないと言えるのか!

浅野遥は長い間考えた末、それ以上は話を続けず、むしろ話題を変えた。

「お前と千恵子の離婚には反対しない。当時の真相について、信じられないなら自分で調べるといい」

浅野遥は視線を逸らした。

当時の出来事の真相は、多くの人々と事柄に関わっており、触れないでおくことが、全ての人にとって最善の保護となる。

しかも彼は以前、ある人と約束していた。やむを得ない場合を除いて、過去の出来事は決して蒸し返してはならないと。

浅野武樹は、浅野遥がもう口を開くつもりがない様子を見て、心の中で怒りが沸き立った。

一体どんな過去の真相が、最も身近な家族にさえ知らせることができないほどのものなのか!