第77章 離婚届を受け取りましょう

小山千恵子は心を落ち着かせようと努め、うつむいて考え込んだ。

手術をしなければ、次にいつ来るかわからない危篤状態を待つしかない。

手術をすれば、祖父が意識を取り戻す可能性もあるが、最悪の場合、手術台から降りることもできなくなる。

小山千恵子は胸が痛み、どうすることもできなかった。

この件について、決断を下すべきなのは彼女ではなく、祖父自身のはずだった。

藤原晴子も真剣な表情で、千恵子の背中をポンポンと叩いた。「まだ時間はあるわ。自分を追い詰めすぎないで。私たちがここにいるから。」

小山千恵子は頷き、眉をひそめながら、重々しく口を開いた。

「祖父が時々意識がはっきりする時に、本人の意思を聞いてみたいの。もし聞けなかったら、一週間後に私が決断を下すわ。」

藤原晴子はため息をつき、千葉隆弘を見て、頷いた。

彼女は知っていた。小山千恵子は重要な局面に直面すると、いつも冷静に解決策を見出せることを。

しかし、それは彼女に感情がないということではない。

丸テーブルの周りの雰囲気は非常に重苦しかった。

小山千恵子は頬を軽く叩き、明るい口調で話題を変えた。

「さて、方法が見つかったところで、別の話をしましょう。隆弘、こんなに長く姿を消して、何してたの?連絡もよこさないで、こっそり私たちを出し抜こうとしてたの?」

千葉隆弘は千恵子の目に浮かぶ狡猾さと冗談めかした様子を見て、心は痛んでいたものの、もはやそれを表に出すことなく、微笑みながら話し始めた。

「父に特訓されてたんだ。毎日ビジネスバトルを見学させられて、まるでNetflixのドラマみたいだった。この前、浅野グループの株価が大きく変動した時を狙って、長い間準備していた51%の株式を手に入れたんだ。今は公示期間中で、それが終われば、療養院は千葉の名前に戻る。」

藤原晴子は千葉隆弘の肩を軽く叩き、驚いた表情で言った。「すごいじゃない、千葉隆弘。会わない間に、すっかり傲慢な社長様になっちゃって。」

千葉隆弘は笑いながら肩をさすった。「どこが傲慢な社長だよ。これは借りを返すためさ。療養院を取り戻したから、父さんもようやくコネを使って、この脳外科の専門医を帝都に呼んでくれたんだ。」

小山千恵子の心は温かくなった。

千葉家の千葉信夫、隆弘の父は並の人物ではない。