浅野おじさんと呼び方を変えた小山千恵子の言葉を聞いて、以前は父と呼んでいたのに。
浅野遥は表情を変えることなく、落ち着いて口を開いた。
「もちろん分かっている。母親の小山雫のことを聞きに来たんだろう」
小山千恵子は少し驚いた。
浅野遥がこんなにも率直に話してくれるとは思っていなかった。
それはそれで良かった。無駄な時間を省くことができる。
浅野遥は淡々と言った。「私が言えるのは、小山雫が錦を殺害した犯人ではないということだけだ」
小山千恵子の宙づりになっていた心が、ようやくその瞬間に沈んでいった。
もし浅野遥の言葉が本当なら、間違いない。
母は殺人犯であるはずがない!
小山千恵子は目に浮かぶ感情を抑えて、落ち着いた声で話し始めた。
「ご存知でしょうが、浅野武樹さんは証拠を持っています。すべてが犯人は小山雫だと示しています」