一瞬にしてレストランの雰囲気は凍りついた。
黒川啓太は主席に座り、黒川家の絶対的な主導者であり上位者だった。彼の感情は部屋全体の雰囲気を左右しているようだった。
黒川啓太は剣のような眉を少し寄せ、目には複雑な感情が渦巻いていたが、すぐに平静を取り戻した。
「よし、その後の状況を報告してくれ。他のことは、今は言わなくていい」
電話を切ると、黒川啓太は目を伏せて目の前のスープを飲み、何事もなかったかのように振る舞った。
しかし黒川芽衣の心には変化が生じ始めていた。
彼女はあのペンダントが何のためのものか、よく分かっていたのだ!
当時そのペンダントを持っていた人は一人だけ、それは小山雫だった!
黒川芽衣の目には隠しきれない憎しみと険悪さが閃いた。
小山雫はとっくに病死したはずなのに!どうして当時の事を、まだ誰かが調べているのか。