第156章 ママはあなたを守ってあげる

藤原晴子は両手を組み合わせ、どう切り出せばいいのか分からなかった。

彼女も寺田通から浅野武樹についての話をたくさん聞いていた。彼は良い暮らしをしていなかった。

でも彼女には分からなかった。小山千恵子は彼が幸せに暮らしているのを聞きたいのか、それとも不幸せなのを聞きたいのか。

藤原晴子は心の中でため息をついた。

やはり言わない方がいい。

小山千恵子は書類を藤原晴子に返し、彼女を見つめてからかうように笑った。

「晴子さん、会社のことは急ぎません。今私が心配しているのは、あなたの幸せのことです。」

自分が病気になったせいで、藤原晴子のキャリアも恋愛も邪魔してしまった。

この数年間、小山千恵子はずっと心に引っかかっていて、申し訳なく思っていた。

藤原晴子は小山千恵子がこの話題を持ち出すとは思わず、心の準備ができていなかったため、顔を赤らめて話題をそらした。