第160章 墓地での再会

小山千恵子は道で新鮮なスズランの花束を買った。白い小さな花は清らかな香りを放っていて、おじいちゃんはきっと喜んでくれるはずだ。

墓地の小道を再び歩くと、小山千恵子は別世界にいるような感覚に襲われた。

前回おじいちゃんを見送って以来、ここには来ていなかった。

慣れた道を通って墓地の一角に着くと、おじいちゃんの墓石の隣には、小さな墓石が置かれていた。

小山千恵子は近づき、自分の小さな白黒写真を見つめた。

二つの墓石の前はほこりひとつなく、枯れたクチナシの花が二束置かれているだけだった。

小山千恵子は考えた末、スズランを二本分けて自分の墓石の前に置いた。

彼女は黙り込んだ。

この二本の花で、かつての自分に別れを告げよう。

おじいちゃんの墓石の前に来ると、小山千恵子は手で浮いたほこりを払い、花を置いた。