第164章 私は治療に協力できます

小山千恵子の心が沈んだ。

彼女はもう知っていた。救急室に横たわっているのは浅野武樹だと。

本来なら、優子を連れてここを離れるべきだった。

むしろ、もし一日早く隣の病気の叔父さんが浅野武樹だと知っていたら、優子を連れて即座に立ち去っていただろう!

でも今となっては、もう遅いかもしれない。

優子は天真爛漫で、人と親しくなるのが早い。今、救急室に横たわっている浅野武樹は、すでに彼女の小さな心を揺さぶるには十分だった。

優子に指を引っ張られて病院の玄関へと向かう中、小山千恵子の足取りも自然と早くなった。

この二度の偶然の出会いで、浅野武樹はまだ正常そうに見えたのに、どうして突然倒れてしまったのだろう……

「千恵子?優子?どうしてここに?」

小山千恵子が振り返ると、驚きの表情を浮かべる藤原晴子と寺田通と目が合った。