第216章 彼は爆発を覚えていた

浅野武樹は主席に悠然と座り、小山千恵子が強引に付き合いをしている様子を見て、何とも言えない爽快感を覚えた。

もしこの女に別の思惑があるのなら、これくらいの苦労は当然の報いだ。

彼から何かを引き出そうとするなら、それなりの代価を払わなければならない。

浅野武樹は視線を逸らし、酒を一口飲んだ。

最初、小山千恵子を見かけると、なぜか心が落ち着かなかった。しかし彼女は常に計算高く、余裕のある態度を見せていた。

この操られている感じ、見透かされている感覚が、彼を不快にさせた。

小山千恵子は京極社長とぎこちない会話を交わしながら、心は近くにいる優雅で気品のある男性に向かっていた。

浅野武樹の獲物を見る目つきは、彼女にとってはあまりにも馴染み深いものだった。

ただし、以前は傍観者だったが、今は自分が罠にかかった獲物となっていた。