第265章 さあ、浅野社長の条件は何でしょう?

社長室。

浅野武樹は新しいメールを開くと、表情が冷たくなった。

彼は浅野家の幹部グループで、今回のショーの運営を全面的に担当すると宣言し、小山千恵子の後ろ盾になろうとしていた。

なのに、まだ誰かが邪魔をしようとしている。

法務部が次々と難癖をつけてくるのは、明らかに誰かの指示を受けているからだ。

浅野武樹の胸が波打ち、薄い唇が不快そうに結ばれた。

桜井美月、事ここに至ってまだ公然と騒ぎを起こすとは、自分の身についた汚名がまだ足りないとでも言うのか。

浅野武樹は電話を取った。「寺田、小山千恵子を私の部屋に呼んでくれ。」

寺田は承諾し、自ら足を運ぶことにした。

浅野武樹の秘書として、彼もそのメールのCCに入っており、何が起きたのかを把握していた。

以前なら、このような事態は小山お嬢さんが自分で処理し、浅野社長の前に持ち出すことは滅多になかった。