小山千恵子は思わず尋ねた。「南アメリカ?あんな混乱した場所で、何をするの?」
しかし、質問を口にした瞬間、小山千恵子の心の中には既に答えがあった。
南アメリカはずっとクーデターに見舞われ、情勢は非常に不安定で、傭兵が至る所におり、戦乱が絶えなかった。
そのような情勢のため、石油価格と金価格は非常に高騰し、多くの企業家がその利益にあずかろうとしていた。
しかし、そのような場所では、実力のない者は金を稼ぐ前に命を落としかねない。
しかし、浅野武樹が若かった頃の最高の数年間は、平和維持部隊で小山敏夫と共に過ごした時期だった。
もしあの時に学んだことがなければ、彼女と浅野武樹はあの公海のクルーズ船で命を落としていたかもしれない。
ウィリアムは小山千恵子の表情が次々と変わるのを見て、心の中で不安を感じた。