第313章 もう何も隠したくない

小山千恵子は、浅野武樹がモリ先生のところで入院治療を受けていないのなら、このようなニュースを信じることはなかっただろう。

しかし、浅野武樹が朝からあんなにも精神が朦朧としていたため、彼女の心には不安が募っていた。

彼女にはよくわかっていた。浅野武樹は他人よりも自分に対して厳しい人間だということを。

あんなに過激な治療方針に同意するべきではなかったかもしれない……

ウィリアムは小山千恵子の表情が優れないのを見て、真剣な面持ちになり、小声で囁いた。

「師妹、どうしたんだ?浅野武樹は本当に病気なのか?」

最近確かに、浅野武樹に関する根も葉もない噂が多く出回っていた。主に後継者としての立場を攻撃するものだった。

浅野武樹の精神状態が良くないため、浅野家の事業を継承できないという噂もあれば、野心が大きすぎて浅野家のちっぽけな事業など眼中にないという噂もあった。