浅野武樹は長いため息をつき、声は少しかすれていた。
「南アメリカとヨーロッパで何年も調査して、ようやく浅野遥のグレーな商売の尻尾を掴むことができた」
小山千恵子は大きく驚き、ベッドの横の椅子に座り直した。「まさか、一体どういうことなの?」
南アメリカは政権交代や戦乱が頻発する地域で、そのような場所では、薬物や武器に関わるグレーな商売が必ず存在する。
素早く金が入る一方で、命を懸けた商売でもある。
彼女は、浅野遥が帝都で一代で成り上がったビジネスマンだと思っていた。どうしてそのようなグレーな商売に関わることになったのだろう!
浅野武樹は自嘲的に笑い、何かを思い出しているようだった。
「覚えているか?あの時、千葉家の次男が黒川家に頼んで、浅野家の株価を空売りした件を」