第361章 彼女の浅野武樹への態度

部屋の人感センサー式ナイトライトが点灯し、夜の闇を追い払った。

帝都の冬も、そんなに寒くなくなったような気がした。

小山千恵子は目が熱くなり、頭の中がぼんやりとしていた。

逞しい腕にしっかりと抱きしめられ、鼻先には浅野武樹の馴染みのある木質系の香りが漂っていた……

このような普通で当たり前な抱擁を、彼女はかつて持っていたし、また求めても得られなかった時期もあった。

しかし今、このような幸せが目の前にあっても、小山千恵子は深く溺れることを恐れていた。

浅野武樹の背中に軽く置いた小さな手を握りしめ、小山千恵子は爪が掌に食い込む痛みを感じた。

彼女は身を低くし、浅野武樹を軽く押しのけた。「はい、もう行って。」

これ以上このままでは、彼女の心の城がまた浅野武樹に攻め落とされてしまいそうだった。

浅野武樹は素直に手を放し、ぼんやりとした明かりの下で、小山千恵子の少し気まずそうな、恥ずかしそうな顔を見つめた。

今でも彼には信じられなかった。かつて小山千恵子を完全に手に入れていた自分が、どうしてあんなにも傲慢になってしまったのか。

腕の中の温もりが去り、浅野武樹の心にも空白が生まれた。

しかし彼は知っていた。このような抱擁は、彼にとってすでに恩寵のようなものだった。

まあいい、このような抱擁一つで、これから別れる日々を乗り越えられるだろう。

小山千恵子は黙って立ち上がり、部屋の天井灯をつけ、引き続き整然と荷物を詰めていった。

浅野武樹はもう何も言わず、立ち上がって手伝い始め、部屋には荷物を片付ける音だけが響いていた。

しばらくして、小山千恵子は眉をひそめ、突然口を開いた。

「おかしいわ。理屈から言えば、南アメリカの商売は浅野遥と浅野秀正にとって、秘密にしておくべき大事なはずよ。黒川芽衣と大野武志を南アメリカに送って働かせるなんて、考えただけでも不自然。浅野秀正が彼らを信用するはずがない。」

浅野武樹は七、八個のぬいぐるみを手に取り、頭を悩ませながら圧縮袋に詰めていたが、それを聞いて笑みを浮かべた。

「その通りだ。だから黒川芽衣と大野武志が本当に行くことになれば、誰が手を下すにしても、彼らはそこで命を落とすことになる。」

小山千恵子は悟ったように目を見開いた。