第383章 もう一度、彼を信じられるのか

藤原晴子は額に手を当て、カチッと安全ベルトを外した。

「寺田、先に帰って。私は彼女とじっくり話をしたいから」

小山千恵子は驚いて固まった。「そ、そんな必要が?」

ずっと昔から、小山千恵子が間違いを犯したり、進退窮まったりするたびに、藤原晴子は彼女と話し合いをしていた。

いわゆる話し合いは、ただの雑談ではなかった。

藤原晴子はまず彼女を叱り、そして自分で暫く不機嫌になり、最後には不承不承座って、一緒に問題を解決するのだった。

しかし今回の問題は、小山千恵子自身も避けたい問題だった。

藤原晴子にどう説明すればいいのか、もう分からなかった……

夜は更けており、小山千恵子は寺田通が制止して、藤原晴子の怒りを鎮めてから家に連れて帰るだろうと思っていた。

しかし予想外にも、寺田通はただため息をつき、ドアを開けて車を降り、トランクから鞄を取り出した。