ウィリアムは布地を置き、辺りを見回してから、慎重に言葉を選んで口を開いた。
「この所謂...聴覚障害児童リハビリセンターの背後にある資金の流れには、大きな問題があります。」
小山千恵子は驚かなかった。
浅野遥と浅野武樹が、単なる慈善事業のためにこれほど心血を注ぐはずがない。
慈善事業は、彼らの恥部を隠す布にすぎない。
このような慈善団体を使ってマネーロンダリングをすることは、富豪の世界では珍しくもない。
この手の事は、浅野遥と浅野秀正が南アメリカで長年行ってきたことだ。
小山千恵子は真剣な表情で分析した。「資金の流れに問題があるのは不思議ではありません。多くの名家がこのような方法でマネーロンダリングをしています。これだけでは決定的な証拠にはなりません。」
ウィリアムの表情が曇り、顔色はさらに悪くなり、声も一層低くなった。